職業にかかわらず精神科に通院する人の増加

精神科に通う社会人が、近年急激に増加しています。主に職場でのストレスが原因で、いわゆるうつ病に悩まされる日本人労働者が増えているのが実情です。
職業や年齢、性別などにかかわらず、うつ病のリスクは存在します。ストレスフルな労働環境によって精神的なトラブルは引き起こされる事が多く、上司からのモラルハラスメントやパワーハラスメントなどが、うつ病を引き起こす、主な引き金です。
元々日本の労働者は勤勉であり、仕事に対して強い責任感を持っています。特に近年では40代以下の若い世代を中心に、高いコンプライアンス意識を持っています。
一方で、若い社員のお手本となるべきベテラン社員や経営者の方が、むしろコンプライアンス意識が低い事があります。職務上の権限を無意識に乱用し、部下に精神的な嫌がらせ行為を行う年配の方、組織の幹部社員の方々がいて、指導力の低い上司や法令遵守の精神が薄い経営者が増加してきた結果、真面目な労働者がうつ病に悩まされ始めています。
他にも、日本の国では長時間労働が必要以上に美化されているのも軽視できない問題点です。自分の心身を犠牲にしてでも仕事をしなければいけない、こういった、ある種の強迫観念が日本の労働者の間で浸透しています。
皮肉な事に真面目な性格と法令遵守の精神を持つ労働者ほど、モンスター的な上司や顧客からハラスメントの標的にされやすいです。
精神科の需要が増加する背景には、現代的な価値観にアップデートできない旧態依然とした日本企業の労働環境、そして指導力不足な経営者や上司の存在が潜んでいます。